michi2005
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藤原 敬生さん

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国井 律子さん

近藤 淳也さん

『宣伝会議』編集長 田中里沙さん インタビュー

〜 生活者視点に立った道路広報 〜

聞き手   身近な道について、最近何かお気づきの点は?

田中さん 「道路」って、普段はあまり意識せず通ったり、眺めたりしているのですが、最近都内で、街の再開発について取材をした際、道路がいろいろと工夫され、検討してつくられているんだということを知りました。
それ以来、道路をみる視点が変わりましたね。

聞き手   それぞれの利用者がみちづくりと接点を持つにはどうしたらいいでしょうか?

田中さん 「みち」という言葉には、歴史的なもの、地域との融合を感じることができますが、「道路」となると、なんだか「つくられたパッケージ」、「無機質」なものというイメージに変わってしまいます。
もののイメージは、それを構成する情報の量で決まると言われています。
ですので、利用者の立場や状況にあわせるかたちで、それぞれのイメージにつながる情報を、多方面から出していくべきだと思います。

聞き手   どのような考え方で、情報を出していくべきしょうか?

田中さん まずは「生活者視点で、情報を編集する」ということが必要だと思います。
例えば、インターネットで、金融商品まわりのことをお知らせしたいという場合、「マネー特集」『ローン特集』という出し方をしても、金融機関の宣伝としか思ってくれませんよね。それを、例えば独身女性向けに「これから自立して生きていこうとするあなたに」とか、「結婚を考えているあなたに」といった明確な対象者に向かって、その節目にお金のことを考えてみませんか、という流れの案内が効果的だと感じます。
こういったことは、生活シーンの中での演出であり、心に響きます。

聞き手   「生活者視点」というのは、道路で言うと具体的にどんなものがありますか?

田中さん 私も親になってから、ベビーカーを押したり、子どもの三輪車について歩くようになりましたが、道路がいろんな人に配慮されてつくられていたり、あるいは配慮がされていなかったりということに気づきます。
もっと生活者同士が、互いの状況を知り、理解し合うことも大切ですね。他にも、場所に合ったような道路の「デザイン」とか、植樹などで自然と一体となった道路とか。
道路を通る楽しみ、使う楽しみ、その際の配慮点などを見せてもらえると、生活者もイメージしやすいでしょう。

聞き手   歩行者と道路が接点をもつ機会も大事ですね。

田中さん そうですね。最近は市民の中にも、みち=目的地への到着というよりも、そのプロセスを大事にするという人が多くなっています。
例えば、「ウオーキング」の流行もそうで、どの道をどのように歩くかを考えたり、途中で新しい発見をしたりするのが楽しいなど。
道路に期待されているものが、いかに早く移動できるかという旧来の役割とは、少し違ってきているような気がします。

聞き手   このホームページ以外に、どんな媒体で「道路」の広報をしたら面白いでしょうか?

田中さん 広報というのは対象ありきです。
外出の際には携帯を持っていますし、自動車にはカーナビがあります。GPSと連動させて情報を流す機会も増えていますので、屋外広告、交通広告などとの連携を取っていくこともいいのではないでしょうか。
地元のイベントやお祭り等とのタイアップも面白いですよね。

聞き手   道路整備やそのための「税金」というテーマになると、道路利用者に理解してもらうのが難しかったりしますが。

田中さん 民間の感覚でいえば、その商品を買ったことで、どのような効果が得られるのか知りたいと思いますよね。
いわゆる費用対効果、それに対する透明性のようなことが求められている時代です。例えば、この道路を修繕しなかったらどうなるのか、修繕したらどのような効果があるのか、適切なスタンダードを理解してもらうことが必要なのだと思います。
以前に、アメリカよりも日本の道路は立派なんだという話を聞いたことがあります。
日本は地震対策が必要であるとか、国土環境が違うとか、いろいろな理由を知ることでコストについても納得できました。
このような情報はどんどん出されるべきですね。

聞き手   最近は、道路空間を様々な形で有効活用する取組が行われています。
今後、道路というパブリックな空間をどのように生かす方法が考えられるでしょうか?

田中さん 広い歩道にオープンカフェなどのスペースはいいなと思います。景観を楽しめるような、デザインの演出がされているような、そんな道路も素敵です。
通りの名前も一つの広告の媒体ですよね。そこにアートの要素なんかが入ってくるといいと思います。

聞き手   いわゆる公共デザインですね?

田中さん デザイナーで公共デザインに興味を持っている人は増えています。
道路標識をもっとデザイナブルにできないかとか。中国では、「あと何キロ」という標識に商業広告を入れているという話を聞いたことがあります。
もちろん安全の観点は必要ですが。日本でも工事中の外壁などに広告を掲載するなど、新しくて面白い広告メディアが増えています。
街が明るくなるような取り組みは、道路の領域からもたくさんあると思います。道路端におしゃれなベンチを設置することは、路上の安全にもつながるし、人の交流にもつながると思います。

聞き手   一部に「日本の道路は十分に整備された」という声があります。
このような意見に対しては、どのように思われますか?

田中さん 私は実家が三重なんです。
よく「田舎に新しい道路は要らない」と言われていますが、実際に道路ができると家族や親戚は本当に喜んでいて、自慢されます(笑)。ただ、それが他の地域から見たときにどうかということですよね。つまり、地域間の合意形成が必要なのだと思います。そういう意味で、インターネットという媒体を使って、情報を共有化することは重要だと思います。
ほかには、「設計が悪い」と言われている道路もありますよね。その時点では最善だったかもしれないけれど、時を経ていろんな不具合が出てきてしまっている。今後日本国土、人口の分布がどうなるか、こういうことを見据えて、一度仕切り直しをすることが必要とされている気がします。
だから、そういう議論の場があるといいですね。生活者の視点からまちづくりを考えてみても、高層マンションが乱立していて、街の未来像が見えないといった状況は不安ですし。
どんなことを目指して、まちをつくるのか、地域を作るのかが見えてくると良いと思います。

聞き手   最後に、今後のみちづくり全般に対して、どのようなことを期待されますか

田中さん いろんな計画がなされていると思いますが、是非その経緯を公開してほしいですね。企業の新商品であれば、「この商品ができる背景には、こんなことがありました」ということが紹介されます。
みちづくりにおいても、ある種の「ストーリー」を利用者は期待しています。
道路で言えば、土砂崩れでいつも困っている場所だった、前に失敗したことがあった、だから改良している、というふうに。
道路を生活の中に取り込んでもらえるかどうかは、情報の発信、広報活動によるところが大きいと思います。

聞き手   本日はありがとうございました。