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株式会社 はてな 代表取締役 近藤 淳也さんに聞きました。

〜 自転車が好きな子供に夢を。「TOUR DE 信州」の挑戦 〜

聞き手  近藤さんが主催されているサイクリングレース「TOUR DE 信州」について聞かせてください。このイベントを始められたきっかけは?

近藤さん ツール・ド・フランスを日本でやったら面白いと思ったんです。僕は小さい頃からツール・ド・フランスが大好きで、中学校のとき、初めてNHKの番組でツール・ド・フランスを見ました。当時あの放送を見て自転車を始めた人は多かったと思いますよ。

聞き手   つまり日本版のツール・ド・フランスですね。

近藤さん 子供が夢を持てるものは、多ければ多いほど良いと思うんです。その中の一つに自転車のお祭りがあってもいいでしょう。私も自転車が好きで、日本中を走り尽くしましたが、アルプスや田園風景など日本の景色の多様性は本当に素晴らしいし、自転車レースは商業的にも良いコンテンツになると考えています。

聞き手   自転車は幼少の頃から続けられているのですか?

近藤さん 小学校のときに親と隣の町まで遠出してみたり、中学校ではレースに夢中になったり、高校では東海道を走ったりしました。

聞き手   「ツール・ド・信州」はそういう子供の夢になり得るということですね。

近藤さん 一概には言えませんが、ある一定割合の人は必ずいると思うんですよ。例えば、小さい頃自転車で遠出をしてみて、少しづつ距離を広げてみて「どこまで自分の足で行けるか」って考えたり、「誰が一番先に目的地に着けるか」と話し合ったりする人って。ただ、今はそう考えている人の将来の進む先(目標)が無いので、そういう場を作りたかったんです。野球だったら、プロ野球というステージがあったり、文章だったら作家という職業があります。子供はみんな自転車でかけっこしてるのに、その先に何もないというのは問題だと僕は思っています。

聞き手   「TOUR DE 信州」を運営されていて、ご苦労されたことは?例えば、道路使用許可の手続とか・・・。

近藤さん そういう意味では苦労のしっぱなしです。道路の使用許可、占用許可については、第1回のときにいろいろかけあってみたのですが、認められませんでした。今は、通常のサイクリングイベントとして、運営しています。

聞き手   安全面とかの問題はありますか?

近藤さん 信号とかを守らなかったら当然失格ですよね。ただ、山岳レースという性格上、登り道の勝負になるので、スピードの面からそんなに危険な状況はありません。ただし、たまに下り坂で無理に追いつこうとする選手がいるので、そのあたりの安全対策は今後の課題だと思います。

聞き手   参加人数はどのくらいですか?

近藤さん 最初は18人ぐらいで始まりましたが、今では50人ぐらいになりました。

聞き手   今後「TOUR DE 信州」をどのように発展させていきたいとお考えですか?

近藤さん ちゃんとしたレースにしたいですね。自分はあまり時間が取れないのですが、どこかで商業的にも成り立つようなレースにしたいです。できれば「日本縦断レース」みたいなものにできないかなと。正月の箱根駅伝みたいな国民的行事になるといいですよね。「今日は鹿児島出発で宮崎まで行きます」とか。これが実現したら国民は注目すると思いますよ。日本中を巡るレースができたらいいなというのが僕の夢です。
ところで、イタリアの「グランフォンド」ってご存知ですか?

聞き手   教えていただけますか?

近藤さん イタリアに「グランフォンド」という長距離のサイクリングイベントがあるのですが、これがすごい人気なんです。日本でも東京から松本まで走るというレースがあれば、一回挑戦してみようと思う人はいると思うんです。ただ、なかなか150km〜200kmのレースとなると、実現に向かっては、いろいろと障害が多いみたいですが。

聞き手   日本全国、海外と、いろんな道を自転車で走ってこられたと思いますが、思い出深い道、お気に入りの道などあれば、教えてください。

近藤さん 山が好きなので、乗鞍とかは“日本離れ”していて良いなあと思います。これが東京から週末に行って帰ってこれる距離にあるのですから。あと田園風景が好きですね。

聞き手   海外の道はどうですか?

近藤さん 僕はアメリカを自転車で横断したことがあるんですが、日本のほうが景色は良いですよね。アメリカは1週間景色が変わらなかったりして退屈です。だから日本はイタリアに似ていると思うんです。フランスにはガードレールがありませんが、イタリアにはありますしね。フランスはガードレールがない分、道がきれいですよね。

聞き手   日本の道はやはり美しいということでしょうか。

近藤さん 乗鞍のほかにも、白山、立山、木曽駒とかいいですよね。ただ残念なのが、南アルプススーパー林道などの道路が自転車通行禁止になっていることです。道があるのに、入れないという状況に多くの自転車乗りが不便をこうむっています。自然を壊してまで開いた道なのに、自然を楽しみたいという自転車を排除するというのは理解できないですよね。一体誰のために作ったのか。

聞き手   そのとおりですね。

近藤さん 自転車に乗っている人というのは、自動車に比べると発言力が弱いですよね。だから現場レベルで、その道路の管理人さんと小さな諍いを起こしているというのが実情です。乗鞍は、あまりに渋滞がひどくなったので、自動車を入れないようにしたため、自転車の通行が可能になりました。他も同じようにしてほしいですよね。

聞き手   “もっとこんな道づくりをしてほしい”というようなご意見はありますか?

近藤さん 「景観の美しさ」という視点を持ってほしいですね。日本の道路はかなりきれいだけど、風景と合ってどうきれいに見えるかと言う視点があってもいいかなと思います。もう一つは、道から見える景色ですね。高速道路の遮音壁が透明になるだけでもずいぶん違うと思います。面白い話がありますが、きれいな観光地に湖があったときに、「湖の端」については、ホテルなど建物が取るべきか、道路が取るべきかというのは、どのように思いますか?

聞き手   道路でしょうか?

近藤さん そうですね。僕も圧倒的に道路が取るべきだと思います。だって、そのほうがより多くの人がその景観を楽しめますよね。これはその地域の観光がうまくいくかどうかという問題にもつながることだと思っています。

聞き手   他には?

近藤さん なんでも2車線にするのはやめてほしいです。これは自転車の視点ですけど、工事がやりたくて工事をしているような道路がたまにあります。
柳沢峠の道路整備とかも疑問に思いますね。かつては木陰に遮られながら、川の流れを聞きながら、くねくね登って行くのが醍醐味でしたが、それが消え去ってしまいました。
地元の土木業者に比べれば、景観を守ろうという人たちの発言力は小さくなりがちです。行政は、そのあたりの発言力を少し大きめに斟酌してあげないといけないと思います。

聞き手   近藤さんのブログで「ぜひ道路についてのこういう(意見を言う)機会をもっと作って欲しい」とのコメントを拝見しましたが、どのようなコミュニケーションの機会を望まれますか?

近藤さん むかし600人の署名を集めて、国土交通省にパブリックコメントを提出したことがあります。こういう公的な制度はいいですよね。自転車の立場は発言力が弱いので、なにか良い仕組みがあるといいと思います。

聞き手   道路利用者のために「Webを利用してこんなサービスがあったらいいな」というものはございますか?

近藤さん 日本中の道路状況の映像を一つのサイトで一覧できるページがあるといいですね。「あそこの道路に穴が開いてますよ」とか、そういうのをネットで報告できる仕組みがあっても良い。道路は中央のものではなくて、それぞれの地域のものですよね。そういう道路がネットで可視化されたら良いと思います。

聞き手   その他、道路行政について何かご意見がございましたらどうぞ。

近藤さん 標識のデーターベースってないですか?あれを公開したらいい。カーナビ業界は人海戦術で逐一写真を取ってますよ。看板って社会の公共物なんだから、公開したほうがいいですよね。
それと、自転車が走るのは車道か、歩道かという件。自転車は車道を走りなさいと言われても、さすがにママチャリで車道の通行は危ないですよね。逆に車道を走る自転車は、「歩道を走れ!」と言わんばかりの車からのプレッシャーがすごくて、とても危険です。自転車もスピードによって2種類ぐらいに分けることができないものでしょうか。

聞き手   本日はお忙しいところ、貴重なご意見ありがとうございました。